土曜日, 6月 07, 2008

十条日常診療フォーラムNEWS 「死のトライアングル」

5月29日は 精神科 小松先生による『死のトライアングル』でした。はじめに アルコールとうつ病と自殺が密接に関連していることを死のトライアングルといい、WHOでは以前より重点項目としているのに比べ、日本ではアルコールの観点が欠けていて落とし穴になっているとのお話がありました。外国のデータでは、アルコール依存症の存在が自殺のリスクを高め、自殺企図者の46-77%、自殺既遂者の33-59%が飲酒していたとのことで、自殺リスクのある時に飲まない対策が重要であると説明されました。酩酊が自殺リスクを高める理由は、①酩酊が心理的苦痛を増加させること②情動制御中枢がアルコールにより抑制されるために攻撃性が制御できなくなり、外部に向かう攻撃性は暴力・暴言となり、内側に向かう時は、自己への攻撃=自殺衝動を高めることになる③酩酊は自殺時の身体的苦痛を軽減してくれるとの期待感を持たせ自殺念慮を行動へとプッシュさせる④認知野の収縮により現実の検討が減り、視野狭窄・近視状態となり自殺以外のコーピングが困難になること、などが示されました。うつ病患者さんを診察する際はアルコール依存症がないかスクリーニングする必要があり、新KAST(アルコールスクリーニングテスト、男M女F別)の紹介がありました。各診察室にテスト用紙を置くようにとのご指示がありました。そして断酒によって認知障害・記憶障害を回復し、ストレス対処を飲酒に頼るという悪循環を断ち切る必要があるとお話しされ、患者さんをその気にさせるノウハウは次回の「動機付け面接」(7月に2回連続で行う予定)で教えていただくことになりました。<br />

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